ストーリー
田舎町からやってきた、身寄りもなく、ひとりで生きる少女。彼女にはマレル・ギュイゼックという名前があるにもかかわらず、周囲からはムーシュ(蝿)というあだ名で呼ばれ、蔑まれていた。
とりわけ器量が良いというわけでもなく、貧相な身体をしたムーシュは挫折の連続。結局、落ちぶれた場末のストリップ小屋からも追い出されてしまう。行くあてもなく、生きる気力を失い、川に身投げしようとするムーシュ。
そのとき不意に、赤い髪の人形が彼女を呼び止めた。 ムーシュの前に入れ替わり立ち替わり現れる、魅力的な人形たち。やがて彼女は、死のうとしていたことも忘れ、人形たちとの会話に没頭していく。 そんな様子を人形舞台の裏側でじっと見つめる男がいた。
人形一座の座長で人形遣いのキャプテン・コックは、人形たちが操っている自分の手を離れて、勝手に動き、言葉を発している
――まるで、そこに生きるかのような不思議な感覚を味わっていた。 人形遣いの本当の名前は、ミシェル・ペエロ。子供の頃から誰にも愛されたことがなく、優しくされたり親切にされたこともない、天涯孤独に生きる冷酷な男だった。
ムーシュの不思議な魅力を見出したキャプテン・コックは、彼女を一座の仲間に入れることにする。 旅から旅の興行暮らしの中、ムーシュは冷血で残忍なキャプテン・コックを恐れながらも、人形たちとの愛情を日ましに深めてゆく。
一方、そんなムーシュの無垢な心に憎しみを募らせていったキャプテン・コックは、彼女を汚そうと無理矢理に身体を奪い、夜毎に屈辱を与えた。しかし、そんな残酷な夜が明けると、七つの人形たちはムーシュに生きる喜びを与え、様々な物語をつむいで、彼女との愛をより一層深めていくのである。
やがてムーシュと人形たちの舞台は大評判を呼び、有名な大劇場で興行できることになった。














