ストーリー
地下鉄ストアにある小さな衣料品会社で、中年営業マンとして生きる小沼真次。
一年中スーツケース片手に、地下鉄に乗って営業先をまわっている。真次の父は、戦後の闇市から裸一貫で生き、世界に冠たる企業を興した立志伝中の傑物・小沼佐吉。 本来ならば小沼グループの後継者として生きるはずだった真次だが、独裁的な父に反発し、高校を卒業してすぐに家を飛び出した。今は妻子と母の五人家族。生活は決して楽ではない。そして会社の同僚・みち子との関係。真次の心は深い闇の中を彷徨っていた。
ある夜、二十五年ぶりに出席した同窓会で悪酔いした真次は、地下鉄のホームで元教師の野平老人と再会。野平の言葉で、その日が三十年前に自殺した兄・昭一の命日であることを思い出す。
薄暗く長い地下道を歩く真次の脳裏に去来する、様々な記憶の断片。苦しみに追い立てられるように階段を上がる真次の目に飛び込んできたのは、昭和39年、兄が死んだ日の風景だった。















