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とってもゴースト

イントロダクション

「消えないで。午前零時からのシンデレラ」
1989年にシアター・アプルで初演の幕を開けてから18年間、まったく色あせることなく再演を繰り返してきた音楽座ミュージカルの代表作。「死」を通して「生命の尊さ」「生きる勇気と希望」を描いたこの作品のテーマは、殺伐とした事件が増え続ける時代において、より必要になったと評された。 脚本はオリジナルストーリーだが、「シンデレラ」や「赤い靴」の要素が盛り込まれている。童話のメソッドに裏打ちされた物語は、知らず知らずに観客を惹き込み、やがて普遍的な心理へと導いていく。現代を生きているすべての人に贈る、お洒落で骨太な“大人の童話”。 また、エンタテインメント性の豊かさでも、より完成度の高い作品と仕上がっている。舞台美術家・故キヤマ晃二氏のスケッチをモチーフにしたセットや、2005年以降は、国際的に活躍するファッションデザイナー・コシノジュンコ氏による衣装で“ファッション業界”の物語に、より説得力を与えた。オープニングの本格的なファッションショーも見どころのひとつである。

ストーリー

入江ユキはアパレル業界で注目されている、美貌のファッションデザイナー。ところがファッションショーのリハーサル当日、ほんの息抜きのつもりで出かけたドライブ中に、自動車事故で死んでしまう。

突然の出来事に、自分でも死んだことに気づかないユキは、リハーサル会場へゴーストとなって現れる。しかしもちろん、その姿は誰にも見えず、声も聞こえない。 そこへ天界からガイドがやってきた。ガイドの言葉に驚くユキ。しかし、“まだ生きる、まだ死ねない”という強い思いがわきおこり、ガイドの説明を振り切って夢中で逃げ出してしまう。

雨が降る夜の街を呆然と彷徨っていたユキは、高台にある公園でデザイナーを志し生きる服部光司と出会った。ユキのひとり言に思わず返事をする光司。パワーの強い幽霊は、午前零時から三時までの間(霊界タイム)だけ、生きる人間の目に見えたり、声が聞こえたりするらしい。

光司の優しさに触れ、孤独なユキの心に温かいものが流れる。そしてユキは、この世の中でやり残してきたことが、「人を愛し素直に生きること」だと気づくのだった。

受賞暦

1990.1
平成元年度文化庁芸術祭賞
1991.1
脚本・演出/横山由和、「シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ」「とってもゴースト」の二作品で第25回紀伊國屋演劇賞・個人賞
1994.1
「アイ・ラブ・坊っちゃん」および三作品連続公演「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」「とってもゴースト」「マドモアゼル・モーツァルト」の舞台成果により、第28回紀伊國屋演劇賞・団体賞