チェンジ

イントロダクション

「バーチャルリアリティーをモチーフにしたコミカルな現代版『青い鳥』」
1990年に銀座博品館劇場で初演された、コメディータッチのミュージカル。
ふたつの世界で振り回される主人公・今日子が成長していく姿を通して、現実(リアリティー)とは一体何なのかを問いかけ、ひとつの確信へと導いていく。
日常生活に基づいた恐れと願望が、初演時はパラレルワールドの設定で、再演時にはバーチャルリアリティーの設定で描かれる。ファンタジックな物語に現実味が加えられ、観る側も共感しやすいものに仕上がった。 それまでの音楽座ミュージカル作品とは趣が異なったものだったが、底辺に流れる一貫したテーマが含まれている。
また、後に「星の王子さま」などで活躍する高田浩、金子浩介といった若手作曲家が音楽に参加するなど、創作面でも注目すべき作品であった。

ストーリー

結婚して5年、2DKマンションで暮らす今日子とアキラ。最近は口論が耐えず、同窓会の日も口げんかをして、思わず「離婚、独立」などと口走ってしまう。
気分転換に美容室に寄って、お洒落をして出かけた同窓会だったが、キャリアウーマンの島田ルミをはじめ、順風満帆に生きる友人たちに会い、焦りを感じてしまう。
つい見栄をはってついたウソのため、窮地に立った今日子。ごまかそうと自宅に電話するも、「この電話は現在使われておりません」。いつの間にか「別の世界」に来てしまったらしい。 この世界では、下着メーカーの社長として生きる今日子。
一方で、島田ルミは彼女の秘書をしていた。豪邸に住み、夫はテレビの人気ニュースキャスター、憧れの落合健一。
さらに、この世になぜかなかった「ブラジャー」を発明して実業家としても大成功。何もかもが思い通りにいく世界を、今日子はだんだん楽しむようになっていった。
そんなある日、島田と婚約したアキラに会い、今日子の心が揺れる。使い捨ては当たり前、面倒なものは切り捨てられていくこの世界で、急にアキラと暮らしていた2DKのマンションが懐かしく思えてくる。 そのとき偶然に起きたアクシデントによって、今日子は元の世界へ。躍り上がって喜ぶものの、アキラは電話で、島田と仲睦まじそうに話している。自分がいない間に、ふたりは恋愛関係になっていたのだ。 自分から離婚宣言をしたのだから、怒っても仕方がない。
今日子は、島田との女の対決に挑む。そして、アキラの実家の財産が目当てだった島田に、「そんなにお金が欲しいんだったら、私があげる」とタンカを切って、手切れ金三億円の約束をしてしまう。
しかし、お金を用意しようと意を決して戻った「もう一つの世界」でも、島田によって社長の椅子が奪われていた。
絶体絶命! 今日子はありったけの知恵を絞り、起死回生の三億円強奪計画を立てる。