る霧の深い夜、一人の飛行士が操縦する飛行機が砂漠の真ん中に墜落する。飛行士はその砂漠で、星から来たという不思議な少年(星の王子さま)と出会うのだった。羊の絵を描いてほしいとしつこく迫る王子に辟易する飛行士だったが、スケッチブックに描いた「象を呑み込んだウワバミ」の絵を言い当てられたのをきっかけに、次第に心を開いていく。王子は飛行士に、自分が住んでいた小さな星や、そこを出るきっかけになった花のことなどを話して聞かせる。王子の体験を自分の人生に重ね、深く受け止めていく飛行士。だが、飛行機の修理は思うようにはかどらず、ついに飲み水がなくなってしまった。渇きにあえぐ飛行士に、王子は井戸を探しにいこうと提案する。 井戸を探しながら、王子は地球に来てから出会ったヘビやキツネのことを語った。地球には何千本ものバラが咲いている庭があったことに驚き、悲しくなってしまったこと。しかし、王子が自分の星に残してきたバラは王子にとって特別な花で、何千本ものバラとは決して同じではないとキツネが教えてくれたこと。特別な絆が出来たものは、それはただひとつの大切 なものになるのだということ。そして「心で見なくちゃ物事は分からないんだ・・・大切なことは目に見えないんだよ」と語るキツネの言葉。

いに二人は砂漠で井戸を発見する。大切にくみあげた水を王子の口もとに運ぶ飛行士。
心も体もすっかり生き返った飛行士に、王子は翌日同じ場所で会うことを約束して別れるのだった。バラが待っている星へ帰ることを決心する王子。 
翌日、飛行機の修理が終わって約束の場所に駆けつけた飛行士は、ヘビと話していた王子を問いつめる。王子は空を見上げながら飛行士に「笑い声」をプレゼントした。 「僕はこのたくさんの星の中の、どれかひとつに住むんだ。そして、そのひとつの星のなかで、今みたいに大きな声で笑うんだよ。だからさ、君が夜、空を眺めたら、星がみんな笑って見えるだろう。 」 ヘビにかまれて静かに星空へと消えていく王子。王子を探して駆けまわった飛行士は、悲しみのあまり、砂の上に倒れふしてしまう。そんな飛行士に、満天の星空から、鈴のような王子の笑い声が聞こえてくる。 星空に向かって大きく手を振る飛行士。やがて、飛行士が操縦する飛行機のエンジン音が、砂漠の夜空に響き渡るのだった。

原作
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
脚本・演出
ワームホールプロジェクト
エグゼクティブプロデューサー&
クリエイティブディレクター
相川 レイ子
音楽
高田浩・金子浩介・山口琇也
振付
上島雪夫
美術
朝倉摂